Column
コラム
素材の企画・開発・販売

コメから作られたレジ袋って? ライスフィルムを選ぶ理由

2024.04.16
Share

 レジ袋の有料化から約4年。ゴミになるレジ袋を減らす努力も必要ですが、まったく使わない生活も難しいとされています。選ぶならば、できるだけ環境に優しいものを選びたいところです。
 実は今、環境に優しい素材として注目されているのがバイオプラスチック。なかでも、今回は日本人にとって馴染み深い米から作られたライスフィルムを紹介します。

目次
  • イノベーションが進む包装業界で注目される、SDGsな素材「バイオプラスチック」
  • スカイマテリアルが取り組む、ライスフィルムとは?
  • 燃えるゴミになる日も遠くない。含有率50%への挑戦

イノベーションが進む包装業界で注目される、SDGsな素材「バイオプラスチック」

バイオプラスチックには、微生物によって分解される「生分解性プラスチック」と、サトウキビやコメ、植物油などの自然由来の原料からできた「バイオマスプラスチック」の2種類があります。

生分解性ブラスチックには自然由来の原料から生産されるものもありますが、多くは石油由来の原料となります。

いずれもリサイクルできないというデメリットがありますが、汚れがついてしまいリサイクルしづらいものに活用できると注目されている素材です。

生分解性プラスチックは長い年月をかけて微生物によって自然に分解されます。
一方、バイオマスプラスチックはサトウキビやトウモロコシなどの植物由来の原料を組み合わせて作られており、廃棄される植物を活用できるのが特徴です。

(引用)令和3年度バイオプラスチック及び再生材利用の促進に向けた調査・検討委託業務 報告書

世界のプラスチック製造量が年間約360,000千トン。そのうち生分解性プラスチックは約1,553千トン、バイオマスプラスチック(非生分解性)の製造は864千トンと、バイオプラスチックの割合は1%未満しかありません。

今後、バイオプラスチックの製造を増やすためにも、できるだけバイオプラスチックからできた製品を選んでいきたいところ。特に日本人ならば注目したいのが、米を使用したバイオプラスチック製品「ライスフィルム」です。

スカイマテリアルが取り組む、ライスフィルムとは?

日本で使用されているバイオマスプラスチックのほとんどは海外からの輸入に頼っています。
その課題に着目し、日本ならではの米から作られたライスレジンの開発が進められました。

日本で使用されているバイオマスプラスチックのほとんどは海外からの輸入に頼っています。
そんな課題に着目し、日本ならではの素材の米から作られたライスレジンの開発が進められました。

ライスレジンという米が含まれるバイオプラスチックがあります。これはポリエチレンにコメを混ぜた樹脂で、レジ袋から、ストローなどさまざまな製品へと活用されています。
ライスレジンは精米時に発生する破砕米や備蓄していて食べられなくなった古米など、味に関係なく利用できるため耕作放棄地の活用にもつながります。

スカイマテリアルグループでは、ライスレジンをフィルム状にした「ライスフィルム」の開発・生産を行っています。
シルクのような高級感のあるしなやかな手触りと、仄かな米の香りがすることが特徴で、特別なお客様にお渡しするショッパー袋や、米袋としても活用されています。

燃えるゴミになる日も遠くない。含有率50%への挑戦

 実は、固形のライスレジンからライスフィルムという薄い素材を作るには高い技術力が必要とされます。
一般的に植物原料が50%以上になれば「プラマーク」が付かない燃えるゴミになるため、米の含有量を高めていきたいのが本音です。
 しかし、米の割合を増やせば増やすほど、厚みを均一にすることが難しくなり、強度が失われ、ライスフィルムの特徴であるしなやかさも失われてしまいます。


 2019年から新潟県南魚沼市の指定ごみ袋として米率10%のライスフィルムの採用が始まり、その時から生産性を高めるためにライスレジン自体の米の含有量を高める試みが始まりました。
 当初のライスフィルムに含まれる米の含有量は約10%。スカイマテリアルグループは、ライスレジンを製造するバイオマスレジンホールディングスとグループ企業である強みを活かし、ライスレジンそのものの、米の含有量の見直しから行いました。

当時のライスレジンの米の含有量は40%が最高で、そこから50%に引き上げる開発が行われました。
ライスレジンの米の添加量を上げるだけはなく、練り合わせの方法や米と混ぜるプラスチック樹脂の種類の選定などを微妙に調整。それと並行して、ライスフィルムにした際に含有率をできるだけ下げないよう、フィルムへと製膜する際の温度や圧力などの設定もレジンに合わせて変更しました。
レジンの開発と同時並行で行われたため、フィルムの強度を測定しながら設定を調整するのに苦労しました。

 試行錯誤を重ねた結果、ライスレジンで米の含有率が50%のR50E-4が完成。そこからライスフィルムにして米の含有率25%のものが完成し、現在様々な企業様にショッパー袋やレジ袋、ゴミ袋として使用いただいております。
 現在も、ライスフィルムが燃えるゴミとして出せる50%の含有率を目指し、試みは続けられています。また、クオリティの追求だけでなく、素材の特性に合わせたオリジナル商品の開発も進行中です。

環境に配慮した製品を検討したい方は、ぜひ一度チェックしてください。