スーパーやコンビニで見かけるお菓子のパッケージ。
袋に入ったグミやキャンディ等、ハサミを使わなくても手で切って簡単に開けることができますよね。
実は、手で切れやすくするために特殊なフィルムを使用しているのです。
今回は、そんな機能的なフィルムを製造する、スカイフィルム株式会社のキャスト事業について紹介いたします。
キャスト成形法とは、インフレーション成形法と並ぶ、プラスチックフィルムの製造方法です。
インフレーション成形法は前回のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご覧ください。
〈インフレーション成形法についてはコチラ↓〉
チューブ状のフィルムが成形されるインフレーション成形法に対し、キャスト成形法ではフラットなシート状のフィルムが成形されます。
このフィルムをキャスティングフィルムといい、スカイフィルムでは、福島県須賀川市にある福島第二工場で製造しています。
溶融されたプラスチックの樹脂をTダイと呼ばれるT字型の金型から押出してシート状にし、冷却ロールに通して冷やしながらロールに巻き取ります。
成形したフィルムのロールは、適切な温度や湿度に設定したエージングルームで一定時間保管し、品質の安定化を図ります。
お客様の要望に合わせて適切な寸法に裁断します。
ここでフィルムの外観・巻き姿も確認し、品質のチェックも行います。
製造したフィルムは大きな立体倉庫で保管されます。
約1800棚もの収納力があり、在庫や入出荷を全自動で管理しています。
出荷したフィルムはコンバーターで印刷やラミネート加工されます。
そうして、私たちの身近にあるパッケージが完成します。
※コンバーターとは・・・フィルムや紙などの薄物材料に「グラビア印刷」「ドライラミネート」「スリット」「製袋」等の加工を手掛ける企業のことです。
スカイフィルムで製造されるキャスティングフィルムは、LLDPEシーラントフィルムといい、主に食品用パッケージに使用されています。
LLDPEとは・・・Linear Low Density Polyethyleneの略称で、リニアローデンとも呼ばれます。透明度が高く、しなやかでツルツルとした手触りのポリエチレンのことです。
シーラントフィルムとは・・・シーラントには「密封材」や「防水材」という意味があります。他のフィルムと貼り合わせ、液体や固体を密封(シール)するための役割を持つフィルムのことです。
スカイフィルムのLLDPEシーラントフィルムは、ハサミを使わなくても手で簡単に切ることができる、優れた易引裂き性(易カット性)を持っているのが特徴です。
通常、食品用パッケージは、フィルムやアルミ等の素材を何層も重ねて作られています。
LLDPEシーラントフィルムは、それらの素材を貼り合わせたり、易引裂き性等の機能性を持たせるために重要な役割を担っています。
また、複数の原料を使い分けることで易引裂き性だけでなく、透明性や剛性等、様々な性質を兼ね備えた、スカイフィルム独自のフィルムを製造しています。
-製品例-
-特徴-
HR543・・・易引裂き性、透明性、剛性
HR611・・・易引裂き性、低温シール性、高剛性
KF601C・・・易引裂き性(タテ・ヨコのカットも可能)、透明性、低温シール性
食品用だけでなく、詰め替え用の洗剤やフェイスマスク、ペットフード、サプリメント等、様々な用途で使用することができ、スーパーやコンビニに並ぶ商品にも採用されています。
「このパッケージ、手で簡単に切れるなぁ」と思ったら、それはスカイフィルムのフィルムが使われているかもしれません。